2016年7月5日火曜日

なぜだ!謎の大御所俳優吹替ブーム!

こんにちは。ビニールタッキーです。

今、時代は空前の大御所吹替ブームですね。


急に何を言ってるんだ?という方もいらっしゃるかと思いますが耳の早い人や流行に敏感な方は「ああ、あれネ」と頷いていることでしょう。

僕がこのブームに気付いたきっかけはこちらのニュースです。

『X-MEN』史上最強の神に松平健!洋画吹き替え初挑戦

 シリーズ最新作『X-MEN:アポカリプス』でミュータントの始祖にして、史上最強の神・アポカリプスの日本語吹き替え声優を、俳優の松平健が務めることが明らかになった。洋画吹き替え初挑戦となる松平は、「何しろ初挑戦なので、全力で努めたい」と意気込んだ。 
 最古最強の“神”という悪役を担当することになった松平は、「自分の中では世界各国が核開発を進め、互いにけん制しあい間違った方向へ進んでいる人間社会を滅ぼすというアポカリプスの中での正義という気持ちです。ただそれが人間やミュータントと対立しあう結果につながるわけですが、大いに暴れたいと思います」と現代社会になぞらえて役どころを解釈し、やる気十分。
マツケンがアポカリプス!「上様が神様に!」と暴れん坊将軍クラスタが騒ぎ「おもしれえじゃねえか」と暴れん坊力士クラスタが喝采を上げる事態になりました。僕もその1人でした。

これを見た当初は『デッドプール』でタレント吹替しなかった20世紀フォックスがこれのために力(ギャラ)を貯めていたのか!という感想を抱く程度のニュースでした。

しかしこのわずか3日後にこのニュースが流れたのです。

松本幸四郎、『ジャングル・ブック』で吹き替え初挑戦!黒ヒョウ役で主人公導く


俳優の松本幸四郎(73)が、ディズニー最新の実写映画『ジャングル・ブック』で、主人公を導く黒ヒョウ・バギーラ役で洋画の吹き替えに初挑戦していることが明らかになった。松本は、声の演技を「非常に難しかった」と振り返りつつ、「役者にとってこれは必要なことと感じました」と語っている。 
歌舞伎界を代表する俳優として60年以上活躍する松本は、今回、実写声優に初めて臨んだ。『アナと雪の女王』でエルサの声を演じた娘の松たか子からは、「ディズニー作品の吹き替えは大変よ」と聞いていたといい、実際にアフレコを経験し「非常に難しかったですが、役者にとってこれは必要なことと感じました。中学生の頃ラジオドラマをやっていたのですが、役者としての原点であるその経験が活かされました」としみじみ振り返る。 
 また、黒ヒョウ役については「中学校の頃には『黒ヒョウ』という愛称で呼ばれていたということもあり、驚きはしたが、違和感なく受け入れられました」と明かす。さらに、「バギーラ自身も、後半は年老いて傷ついて、老いたる黒ヒョウになっていく。そういうところがとっても悲しいのだけれども、何か、やっぱり命っていいものだなと感じました」と思いを語り、「今回、バギーラの声と作品中のナレーションも務めさせていただき、大変難しかったですが、心に残る素晴らしいいい仕事をさせてもらいました」とメッセージを寄せている。
松本幸四郎が中学生時代に黒ヒョウと呼ばれていたというエピソードも中々アツいですが俳優生活60年で実写声優は初挑戦という話も驚きです。


いやいやそんなことより、

大御所俳優の吹替多くね?

えなにもしかして流行ってんの?


ということで調べてみました。検索ワードは「吹替 初挑戦」「(大御所俳優名) 吹替」です。

『なぜ生きる-蓮如上人と吉崎炎上-』里見浩太朗インタビュー


浄土真宗の開祖、親鸞聖人の教えを広めた蓮如上人と、その弟子たちとの物語を描くアニメーション映画『なぜ生きる』が公開される。原作はベストセラー書籍「なぜ生きる」で、蓮如上人の声をあてたのは『長七郎江戸日記』『水戸黄門』など多くの代表作を持つベテラン、里見浩太朗だ。 
キャリア60年を迎えた里見だが、意外なことにアニメ声優はこれが初。本作への思いはもちろん、里見とは切っても切れない時代劇の魅力、『リーガル・ハイ』で人気を博した“服部さん”についても直撃。「常にデビューですよ」とほほ笑む姿からは、あくなき探究心が伝わってきた。
なんとこちらもキャリア60年でアニメ声優初挑戦!何が黄門様を突き動かしたのか!?ブーム?ブームのあおりか?


津川雅彦、75歳で初カンヌへ!アニメ映画版「星の王子さま」声優が発表


映画『リトルプリンス 星の王子さまと私』の日本語吹き替え版主要キャストに、鈴木梨央(10)、瀬戸朝香(38)、津川雅彦(75)が決定したことがわかった。三人は、同作のワールドプレミアが行われる第68回カンヌ国際映画祭にも参加する。津川を含めて三人とも、海外の映画祭に出席するのは初めて。津川は「海外映画祭はカンヌに限らず75歳にして初めて! これ王子さまのプレゼントかも?」と喜びを明かしている。

芸歴が長い津川雅彦も映画祭出席はこれが初めてとは。長生きはしてみるものなのかもしれません。


西田敏行が世渡り上手で陽気なクマに!「ジャングル・ブック」吹き替えで歌声披露


俳優の西田敏行が、ウォルト・ディズニーの「ジャングル・ブック」で初めて実写映画の日本語吹き替えに挑戦していることがわかった。主人公の少年モーグリの1番の友人で陽気なクマのバルーの声を担当し、劇中で歌声も披露する。 
西田は、バルーを「掟が厳しいジャングルのなかでも割と自由に、ときどきはみ出しながらもゆるーく守り生きている世渡り上手で憎めないクマ」「モーグリにとって、一緒に肩を組んで歌でも歌いながら仲良く歩いてくれるいい友だち」と分析。さらに「バルーはもう、ほとんど俺ですね」「バルーを演じるということは、西田敏行を演じればいいんだ、という楽な気持ちでやりました!」とキャラクターと自らを重ね、仕上がりに自信をのぞかせている。
先ほど取り上げた松本幸四郎も参加する『ジャングル・ブック』に西田敏行も参戦!
これはやはり吹替版で見なければ!!


“元Folder 5”満島ひかりが「ONE PIECE」劇場版に!濱田岳、菜々緒、北大路欣也ら豪華声優陣


満島ひかり、濱田岳、菜々緒、北大路欣也が、尾田栄一郎による人気コミックの劇場アニメ最新作『ONE PIECE FILM GOLD』に声優として出演することが明らかになった。アニメ声優初挑戦となる満島は、Folder 5 としてテレビアニメ版の2代目主題歌「Believe」を歌ったことがあり、再び同作に関われることの喜びを語っている。 
(中略)さらに、伝説のギャンブラー、レイズ・マックスの声を北大路が担当する。北大路は自身が務めるオリジナルキャラクターの演じ方について、楽しみに策を練っているとのことだ。
今の若い人は北大路欣也はむしろ吹替の人という印象かもしれませんが…


八代亜紀が本人役で「ファインディング・ドリー」出演、初登場シーン公開


「ファインディング・ドリー」の日本版エンディングテーマ「アンフォゲッタブル」を歌う八代亜紀が、本人役で声の出演をしていることがわかった。このたび八代の初登場シーンがYouTubeにて公開された。 
八代の役どころは海洋生物研究所でアナウンス役を務める女性。公開された映像には「こんにちは。八代亜紀です」と名乗る女性の声に、海の中で迷子になったドリーが「ああ、どうも、八代さん。助けてもらえない?」と返すシーンが収められた。本作では各国の著名人が本人役として同役を演じており、字幕版では「エイリアン」のシガニー・ウィーバーが起用されている。 
八代はアフレコの苦労について「監督に『八代亜紀の“声”のまま淡々とした感じで』と言われたんです。歌ではずっと抑揚をつけるということを何十年もしていますから、抑揚がいらないと言われてとても難しかったですね」と明かしている。
ナット・キング・コールの「アンフォゲッタブル」を最近ジャズアルバムで人気の八代亜紀に歌わせるという話までは理解してましたがまさか本人役で声優初挑戦とは誰が予想したでしょうか。あとこれは本筋と関係ありませんが最近のシガニー・ウィーバーはチョイ役出演が好きすぎ!


しかし…なんか多いなおい!今挙げた5つの例はだいたい1年以内のニュースです。
なぜここに来て急に増えたのか。理由を自分なりに考えてみました。

①老声優さんが少ない説
悲しい話なのですが一般的に声優さんといえばなぜか短命という通説があります。ここ数年でも多くの名声優さんが亡くなりました。しかし大御所俳優さんが演じているキャラクターを見るとどうしても老人演技でなければならないという感じはありません。あとおじさま声優はみなさん現役で異様に元気です。

参考:おじさま声優たちが、見た目と声と実年齢が合わなさ過ぎる化け物


②活躍の場を広げる説
昔に比べて大御所俳優さんの活躍するような時代劇や重厚なドラマは少なくなりました。そのため活躍の場を広げるという意味で吹替に初挑戦したりしてるのかもしれません。しかし大御所俳優さんはギャラも極めて大御所なため、「この映画の吹替やりたいね」と言って簡単に出れるとは思えません。確実なソースが見つからなかったのですが、『龍が如く』シリーズに渡哲也を呼んだ時は家一つぐらい買えるギャラだったという話を読んだことがあります。


③話題性先行説
色々言ってきましたがこれが真相だと思います。例えば「あの有名声優が吹替!」というニュースよりも「あの大御所俳優が吹替!」というニュースの方が取り扱う媒体も誌面の規模も段違いです。また、子ども向け映画の場合、実際に子どもたちを劇場に連れて行くのは親御さんや祖父母という特性を活かして、むしろそういう層に訴求力がある大御所俳優を使った方が宣伝として効果があるということなのかもしれません。

あとこれは想像ですが、広告代理店が例の北大路欣也に犬の吹替をやらせたCMが世間的にウケていると思っているのでは…と考えています。実際にCM好感度でも常に1、2位にランク入りするCMですので「世間が大御所俳優吹替を求めている」というリサーチ結果に至ったとして不思議ではありません。もしかすると大御所吹替ブームは我々一般大衆があのCMに喜んだせいで引き起こしたブームなのかもしれません。


大御所俳優さんが年老いてもなお新しいことに挑戦する姿は本当に素晴らしいと思います。実際に声優演技を聞いてみるとものすごく上手なこともあります。ただ、それを発揮するのは別の場所でもいいんですよ、と思ってしまうこともあります。特に大御所ともなると知名度が極めて高いため、映画を見ている間にその俳優さんの顔がちらついてしまうことがあります。その方が映画を多角的に楽しめるという意見もありますが、そんな楽しみ方より物語世界に没入したいという映画ファンが多いと思います。

大御所吹替ブームについて色々考えてみましたが、個人的にはX-MENを見ている間に八代将軍徳川吉宗の顔がちらつく現象はメチャクチャ面白いので楽しみです。もしかすると普段映画を見ない普通の人たちもそんな感じで大御所吹替を楽しんでいるのかもしれませんね。