2014年7月3日木曜日

お父さんもなあ若い頃は高田馬場のジョイ・ディヴィジョンと言われてたんだよ

今さらながら高田馬場のジョイ・ディヴィジョンことトリプルファイヤーにハマった。

スキルアップ
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トリプルファイヤー
アクティブの会 (2014-02-04)
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エモーションを排したラップ、いやポエトリーリーディング…?というより独り言に近いボーカルと反復するタイトなビートが最高にクールなんだけど同時にとてつもなくしょうもない。この無駄を削り落したビートに無駄なことしか言ってないボーカルというバランスがたまんないのだ。


世間に対する皮肉や人生の真実やメッセージを言っているようで…そうでもないような…何だかふんにゃりした歌詞についてこちらのレビューで「うすた京介の世界観」と表現されていて思わず膝を打った。言われてみれば「面白いパーティー」「ちゃんとしないと死ぬ」「本物のキーホルダー」といった曲名もうすたテイストに溢れていてまるでハマーさんの曲みたいだ。彼らの何とも言えないビジュアルも「ピューと吹く!ジャガー」に出てくるバンドマンっぽく見えてくる。




この独特の音楽についてele-kingのレビューでは

ノー・ウェーヴ/『Solid Gold』あたりの頃のギャング・オブ・フォー/後期のゆらゆら帝国を混ぜ合わせたような、タイトなパンク・ファンク・サウンド

と表現されている。しかしYouTubeに「James Chanceっぽい」というコメントがあり気になったので聴いてみたらこれこそまさに、というかまんまだった。





本人たちはDAFやYOLZ IN THE SKYが好きと公言しているらしいのでメッセージ性とビート感覚を大事にしているみたいだがその2つからシリアスを抜き取るとこんな感じになるのか!という印象だ。

アルバム全編が作詞:吉田靖直(ボーカル)/作曲:鳥居真道(ギター)で構成されているが唯一吉田氏が作曲も手掛けた8曲目「神様が見ている」がこれまたずば抜けて変な曲なので彼の才能がすば抜けておかしいということがよくわかる。何と言うか、電気グルーヴ『UFO』に収録の「ちょうちょ」(作詞・作曲:ピエール瀧)を聞いた時の「あ、この歌ってる奴が一番やばい」感を思い出した。



しかしこのインストアライブの「カモン」の映像はやばい。




初めて聴いた人はアドリブで適当言ってるみたいに見えるかも知れないけど「カモン!」「みんな~」「両手上げろー」「体揺らせ~」「最高ー」は全て歌詞にあるし音源も概ねこんな感じだ。会場では笑いが起きているけどこれがただの道化なのか、それともショービズなロックスターに対するメタ批評なのか、目が笑っているのか笑っていないのか、はっきり言ってよくわからない。まさに岡村詩野氏言うところの「東京に久々に現れた愛すべきミュータントたち」だ。